2014年07月07日

その他の脳梗塞(4)

●その他の脳梗塞(4)


●血管炎によるもの

血管炎としては抗リン脂質抗体症候群、全身性エリテマトーデスによるものが若年性脳梗塞の原因として有名である。


●抗リン脂質抗体症候群

原発性抗リン脂質抗体症候群とSLEなどに合併する続発性抗リン脂質抗体症候群が知られている。

全身の血管に血栓が形成されるが動脈にも静脈にも血栓形成が起こりうるのが本疾患の特徴と考えられている。

動脈系血栓の約90%が脳血管においておこるとされている。

抗リン脂質抗体陽性例のうち、血栓症を合併するものは20〜30%とされており大部分の症例では血栓症は生じない。

しかし、一度発症した症例のうち、半数以上で繰り返し血栓症を起こすことが知られている。

静脈血栓症にはワーファリンを使用し、動脈血栓症に対しては少量のアスピリン療法などが行われる。

一般検査においては、血小板減少(40〜50%)、APTT延長、梅毒血栓反応生物学的偽陽性などの所見、既往に習慣性流産、血栓症の既往があれば、抗リン脂質抗体症候群を疑う。

これらの所見がなくとも若年者での脳梗塞やリスクファクターが少ない症例では抗カルジオリピン/β2GPI抗体、ループスアンチコアグラント、抗プロトロンビン抗体などの検査を行うことがある。


●原発性脳血管炎(PACNS)

原発性脳血管炎(PACNS)は中枢神経(CNS)に限局した血管炎であり、主に脳や脊髄の軟膜および脳実質内の長径200〜300μmの細動脈から中動脈レベルの血管が障害される。

原因ははっきりとはしておらず、マイコプラズマ、水痘帯状疱疹ウイルスなどの感染を契機に血管炎を引き起こす例や血管にアミロイド沈着などが認められ複数の原因の関与が示唆されている。

症状の進行は一般的に亜急性の経過を辿ることが多いが、痙攣などで急性に発症する例や頭痛が持続する慢性の経過を辿ることもある。

臨床症状としては認知機能低下83%、頭痛56%、痙攣や発熱30%、脳梗塞14%、脳出血12%の順に多く脊髄血管も障害された場合はそれに応じた症状が出現する。

40〜60歳発症が多く、男女差はない。


診断のゴールドスタンダードはカテーテルによる脳血管造影、脳生検(軟膜や脳皮質の小血管炎)などである。全

身性炎症反応は乏しいが髄液検査では何らかの異常が認められる。

MRIでは血管炎に船尾なって単発、または多発の白質、灰白質の脳梗塞巣や出血巣が確認され、腫瘍状にみえることもある。

また小血管炎の結果、白質病変が認められる。血管造影では小動脈の拡張、狭窄を示しビーズ状と称される。

その他周辺の血管やそこからはずれた血管も不揃いで閉塞や途絶が認められる。

治療は結節性多発動脈炎の治療に準じて、ステロイドとシクロホスファミドの併用療法などが行われることがある。


posted by ホーライ at 06:08| 脳梗塞の説明 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月04日

その他の脳梗塞(2)

●ワレンベルグ症候群

延髄には心臓血管中枢、呼吸中枢があるため無呼吸や低換気、不整脈による突然死に注意が必要である。



●Trousseau症候群 (Trousseau syndrome)

後天性凝固異常症のひとつとなるが、悪性腫瘍の遠隔効果による血液凝固異常により脳塞栓症をきたすことがあり、坦癌患者に合併する脳梗塞をTrousseau症候群(トルソー症候群)という。Trousseau症候群の原因となる悪性腫瘍として頻度の高いものは固形癌であり、腺癌、特にムチン産出腫瘍が多いとされている。

固形癌の中では乳癌や子宮癌など婦人科腫瘍が最も多く、肺癌、消化器癌、腎臓癌、前立腺癌なども多い。

悪性腫瘍に伴う血液凝固異常はDダイマー、FDP、PICといった二次線溶系マーカーが異常高値を示すことが多い。

二次線溶系マーカー異常高値を示すものとしては胸腹部大動脈瘤、重度の深部静脈血栓症などがある。

奇異性脳塞栓症や心原性脳塞栓症ではDダイマーは高くとも5.0mg/dl程度でありFDPやPICは正常範囲にとどまることが多い。

坦癌患者における脳梗塞の成因の多くはDICに併発した非細菌性血栓性心内膜炎(NBTE)による心原性脳塞栓症であり、ついでTrousseau症候群、細菌性塞栓、腫瘍塞栓、脳静脈、静脈洞血栓症などがあげられる。

Trousseau症候群の治療法は低分子ヘパリンが有効であるが、予後を左右するのは原疾患の治療である。




●脳静脈・静脈洞洞血栓症(CVT)

脳静脈・静脈洞洞血栓症(CVT)は脳の静脈あるいは静脈洞が閉塞して静脈還流障害がおこり、頭痛、痙攣、意識障害などの症状が、急性あるいは亜急性に発症する疾患である・全脳卒中の1%未満であるが決して稀なしっかんではない。

症状は多彩であるが頭痛(90%)、痙攣(40%)、意識障害(60%)が急性ないし、亜急性に認められた場合はCVTを鑑別する必要がある。


50歳未満の女性や子供に多いとされる。

妊娠、産褥、悪性疾患静脈洞に隣接する耳、乳突蜂巣、副鼻腔の感染、細菌性髄膜炎などから波及する場合、凝固亢進状態など多彩な病態を基礎に発症する。

Dダイマーが正常値であればCVTの可能性は低い。

SWIを含むMRIで血栓化した静脈または静脈洞を確認し、MRVでそれと同じ静脈が描出されないことを証明するのがgold standardである。


大規模な臨床研究で有効性を検討したものはないが急性期はヘパリンの持続点滴で治療されることが多い。

早期に診断して治療ができれば予後は比較的良好である。

原因疾患があればそれの治療、痙攣、脳浮腫に対する治療も併用する。

再発予防は3ヶ月〜12ヶ月のワーファリンと原因疾患の治療である。



●脳アミロイドアンギオパチ-(CAA)

脳血管にアミロイドが沈着することで血管壁が脆弱化したり、内腔の狭窄、閉塞が生じ、その結果脳出血や脳梗塞が生じる。Boston criteriaで診断される。



●線維筋性形成異常症(FMD)

若年性脳梗塞の原因のひとつとして欧米では多数報告されているが日本では稀である。


●遺残原始血管

血管の奇形によって動脈硬化が進行する場合がある。


●CADASILとCARASIL

CADASILを疑う場合の臨床的特徴は、40〜50歳と比較的若年発症、脳卒中のリスクファクターを有さない、ラクナ梗塞発作を繰り返し、次第に進行して仮性球麻痺や認知症症状を呈する、家族に類似症状を認める(常染色体優性遺伝形式)ことである。

常染色体優性遺伝形式をとる若年性脳梗塞を試た場合、特に小血管病変の場合はCADASILを疑う。

CADASILには病気としては3期知られている。

第1期は前兆を伴う片頭痛とMRIにて境界鮮明な深部白質病変が認められる。

第2期ではTIAや脳梗塞を生じたり、うつなどの精神症状が出現しMRIで深部白質の癒合性病変、ラクナ梗塞巣をみる。

第3期では認知症や仮性球麻痺、MRIではびまん性深部白質病変のように進行していく。

CADASILの診断基準ではDavousらのものが知られている。

病理学的には脳実質小動脈の中膜筋層の変性、消失と外膜の線維性肥厚および血管壁の非アミロイド性の好酸性PAS陽性顆粒沈着で確認される。

確定診断では遺伝子解析でNotch3変異(特にhot spot exon3、4)を確認するか皮膚、筋生検でNotch3細胞外ドメインに対する抗体を用いた免疫染色でGOM(granular osminophilic material)を確認することが必要である。

重要な類似疾患にCARASILがある。

高血圧を伴わず細動脈硬化によって生じる白質脳症であり常染色体劣性遺伝を示す疾患である。

白質脳症と30歳代から進行する認知症はCARASILと類似するが、反復性の腰痛や変形性脊椎症、禿頭はCARASILに特徴的な所見である。

HTRA1遺伝子の機能喪失から生じるTGFβファミリーシグナル伝達系の抑制不全が細動脈硬化に関与している。

病理学的には血管内皮の増殖が著明であり、中膜のTGFβ1の発現の増加とともに内膜では細胞外マトリックスの発現増加がみられる。

有効な治療法はみつかっておらず、抗血栓薬が用いられるが有効性は確認されていない。


posted by ホーライ at 10:00| 脳梗塞の説明 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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